ご高齢者の方にお奨めすることが多いので優しいイメージの漢方と思っておられる方も多いですが、実は、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)は作用の強い漢方です。
麻黄附子細辛湯とは?
麻黄附子細辛湯は、即効性のある風邪薬とも言われたり、また、花粉症を緩和するために飲んだことある!という方もおられると思います。
しかし、この漢方は飲むにあたって自分の症に合っているかをしっかりと確認して飲むことが必要な漢方です。
まず、この漢方は名前の通り、麻黄(まおう)、附子(ぶし)、細辛(さいしん)の3つの生薬で構成された漢方です。生薬が3つと少なく(作用が大きい)、その上、3つともバンバン温める生薬ばかりです。
1つ1つ生薬を見ていきましょう(*^^*)
・・・麻黄(まおう)
マオウ科のマオウなどの地上茎を乾燥したもので、漢方処方用薬としては、発汗、鎮痛、鎮咳、去痰、利尿作用があります。発熱悪寒、頭痛、身体疼痛、骨節痛、呼吸困難、喘咳、黄疸などを改善する薬方に配合される生薬です。
この麻黄は薬性が非常に強く、【温、辛苦、発表解表(汗を発散)、表の利水(皮膚表面の水の巡りを良くする)、平喘(咳を静める)】作用があります。
特に、発表解表作用は他の生薬に比べて(桂枝や葛根など)圧倒的に強いため、汗を出させる効果が働き過ぎて必要以上に汗をかき過ぎてしまうこと、その上、利水効果も強いので脱水を招いてしまうこともあります。
更に、このような発散させる効果が高い麻黄の入った漢方を飲むと、蕁麻疹や湿疹などを悪化させることもあります。
・・・附子(ぶし)
キンポウゲ科シナトリカブトの子根を乾燥したもので、体を温め、新陳代謝の機能を高める作用を持ち、利尿、強心、鎮痛、鎮静などに効果がある生薬です。
トリカブトとは、あの猛毒のトリカブトのことです。
附子の効果は、【大熱(強い冷えを治す)、大辛、回陽救逆(心臓が弱い人に強心作用)、温脾腎、散寒止痛】作用ですが、附子は毒なので、症状がきつい状態だったら薬になり、きつくもない状態であれば毒になるという側面があり、飲み間違えると怖い薬でもあります。
例えば、冷えが強い人には温める力は非常に強いのでよく効きますが、そこまで強くない冷えや冷えてない人の場合には、逆に不用な熱がこもってしまいます。
また、附子には強い鎮痛作用があることが知られていますが、これも、あくまで【強い冷えからくる痛み】に対しての効果なので、根底に冷えのない方の痛みは悪化させてしまいます。
・・・細辛(さいしん)
ウマノスズクサ科のケイリンサイシンまたはウスバサイシンの根や根茎を乾燥したもので、解表、止咳、止痛、温裏などの効能があり、感冒(かぜ)や喘息、頭痛、歯痛、神経痛などに用いられる生薬です。
麻黄附子細辛湯は冷えが強い人(腎陽虚<じんようきょ>)が飲む漢方
麻黄附子細辛湯は、【冷えが強い人(腎陽虚)】が飲む漢方です。ここを間違うと副作用的な症状が起こります。
いくら風邪薬として即効性があると言っても、花粉症の症状を抑えると言っても、根底に強い冷えのない人が飲むと逆に熱を溜めてしまいオーバーヒートを起こしてしまいます(*_*)
麻黄附子細辛湯が合う人
身体の中から冷えている(腎陽虚)の人、例えば、冷えが強く虚弱な高齢者の方(加齢と共に腎陽虚がすすむ)などが向いています。
また、中期頃までの風邪に用います(鼻水や痰が粘っこくなったり、熱症状が出てくるまでの服用)。
花粉症の場合は、水鼻(サラサラの鼻水)を止める効果がありますが、基本、連用ではなく頓服的な服用になります。いずれにしても、根底に強い冷えのない人には向きません。
舌を見て、真っ赤だったり、苔が黄色に変色している人は絶対に飲めませんよ(‘ω’)
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・・・ いそざきかおり