お客さまから「風邪で抗生(剤)物質飲んだ」「喉が腫れてたので病院に行ったら抗生(剤)物質が出た」「抗生(剤)物質を飲んで風邪が治った」「膀胱炎で抗生(剤)物質を飲んでいる」なんていうお話を頻繁にお聞きします。
内心、あらら飲んじゃった(´Д⊂ヽ
と思っていますが(苦笑)、実際、抗生(剤)物質がどんな性質のお薬か?どんなリスクや問題があるのか?ということをご存知なく飲まれている(家族に飲ましている)方も多いんです(‘ω’)
ってことで、今日は真面目に「抗生(剤)物質」の勉強していきましょう(^^)/~~~
抗生(剤)物質って?
抗生(剤)物質は、細菌学者が「青カビのまわりには<ばい菌>が増殖しない」という発見をしたことが始まりで作られたもので、現在では50種類以上もの抗生(剤)物質があります。
抗生(剤)物質の定義は「細菌を代表とする微生物その他の発育を阻害する物質」で、要は、細菌をやっつけるお薬です。
「風邪にパブロン」のごとく「風邪に抗生(剤)物質」と紐付けてイメージされている方も多いですが、そもそも風邪の感染源は80~90%はウイルスなので、ほとんどの風邪に抗生(剤)物質効果は効かないんです(T_T)
もちろん、10%くらいは細菌性の風邪(感染症)もあるので、抗生(剤)物質の効果がある風邪もあるんですがね…。
抗生(剤)物質が必要な時って?
どんなときに抗生(剤)物質が必要となるのかというと、「細菌やマイコプラズマやクラミジアなどの病原微生物の感染が考えられるとき」「二次的にそれらの感染を合併している場合(ウイス感染などで弱ったことで気管支炎や肺炎を併発するなど)」です。
また、人によって二次的な感染予防を目的として投与される場合もあります。
ちなみに、鼻かぜはほとんどがウイルス性なので、抗生(剤)物質は役に立ちません。
中耳炎、副鼻腔炎、A群溶連菌感染症の咽頭炎、膀胱炎などが悪化して自力で治せない場合の使用は「致し方ないかな~」と思います。って、私が出す訳でないですが(^_^;)
抗生(剤)物質はなにが良くないの?
抗生(剤)物質は、「耐性菌の問題」「腸内環境を破壊する」という大きく2つの問題があります。
・・・(薬剤)耐性菌とは?
抗生(剤)物質が効かない菌のことです。
全ての抗生(剤)物質が効かないとなれば治療方法がなくなってしまい、命を救うことができなくなることも…。
これは世界的な問題となっています。
・・・(薬剤)耐性菌はどうして生まれるの?
薬剤耐性菌は、抗生(剤)物質を使うことで生まれます。
細菌も生き残るために、抗生(剤)物質に耐えられるように自らの性質を変えていきます(耐性菌は一定の割合で出現)。
抗生(剤)物質を使えば使うほど、その数も増えていきます。
・・・(薬剤)耐性菌を生まないためには?
抗生(剤)物質の使用は、ほんとうに必要な時だけにすることです。
って言っても患者さんは出されたら飲むしかないですけどね(^^;))
基本は、「医療機関が日頃から抗生物質の処方を必要最小限にして、いざ必要と考えられるときは最適と考えられる抗生物質を処方するようにすること」です。
2017年と2018年には厚生労働省が「抗生(剤)物質」を安易に処方しないようにガイドラインも出されています。
なんと、出さずに我慢した病院には「報酬」がでるそうです。
・・・抗生(剤)物質が腸内環境を破壊するって?
抗生(剤)物質を出された時には、ビオフェルミンなど整腸剤が出されますが、これは、抗生(剤)物質の使用で、腸内環境が壊されるからなんですね。。。
過激な言い方で言うと、、、
抗生(剤)物質は、
腸へ核爆弾を落とす!!!
くらいの大きなダメージを与えるんです( ゚Д゚)!!
体内には身体に良い作用のある菌もたくさん住んでいて、私たちの健康を守っています。特に腸内には多種多様な菌がたくさん住み付き腸内環境を守ってくれています。
今では、どなたも「腸内環境の大切さ」はよくご存知で、一生懸命ヨーグルトや発酵食品などを食べて「腸内環境を良くする善玉菌ちゃんを増やすべく」努力をされていると思います。
しかし、たった1つ、抗生(剤)物質を飲んだだけで、そんな善玉菌ちゃんが「どっかーん」と一網打尽でやっつけられてしまうんです(*´ω`)
マジで、コワイんです(*´ω`)
抗生(剤)物質で、めっちゃくちゃ減ってしまった善玉菌ちゃんを元の数に戻すのは、それはもう何か月もかかります。何より、一度、絶滅した菌は戻すことができないので、その損失は計り知れません…。
それが、抗生(剤)物質のコワイところです。
最後に
昨日も「2か月毎に膀胱炎になるので、その度に1週間お薬を飲んで治してるねん」という方がいらっしゃいましたが(ご相談は別件)、そもそも抗生(剤)物質を飲んでいることすら認識されていなくて(汗)、「お医者さんでいつも出されるお薬で膀胱炎が治る」みたいに思われておられたので、「抗生(剤)物質」と「違うよ」ってお話をさせていただきました(^^;)
膀胱炎になるということは、あの「弱っちい大腸菌に負けてしまうほどカラダの力を落としてしまっている」ということなので、そこをしっかりと理解して治していけば抗生(剤)物質を使うことも、膀胱炎を繰り返すこともないですよね(*^^*)
もちろん、抗生(剤)物質が悪いのではありませんよ(^_^;) 必要ないのに使うことが問題で、必要のある時には非常に助けになるお薬です。
非常に長くなりましたが、今回の抗生(剤)物質のお話が少しでもお役に立てればと思います(・ω・)ノ
2020年1月7日
・・・ケイアイ薬品健康相談所
・・・いそざきかおり